うまさが日記

『いいモノさがし』認定事業者のご紹介です⑦ ~ 有明の風(後編)

佐賀市には、生産者のみなさんがこだわって作ってきたおいしい商品がたくさんあります。より多くのみなさんに商品を知っていただきたい。そんな思いから始まった佐賀市の認定制度『いいモノさがし』。

『いいモノさがし』の認定品を送り出されている事業者さんに、あんなコトやこんなコトを聞いてきましたのでご紹介します。

第七回は、佐賀市西与賀町「有明の風」の東島吉孝さん(後編)です。

※平成30年4月に佐賀市の公式フェイスブックに掲載された記事からの転載です。


コラーゲン、めんたい、わさび、黒こしょう、梅塩、おにぎり塩のりなど、最高級の初摘みのりを使って、さまざまな味付けのりを加工販売している「有明の風」。ご主人の東島吉孝さんに引き続き、お話を伺います。

◎パッケージを新しくして他と差異化

――前回も触れましたが、こちらの「有明の風」さんには焼き海苔、塩のりのほか、いろいろな味の海苔があります。塩のりの次に作られたのは、めんたい塩のりですね?

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ご主人の東島吉孝さん:そうです。めんたいやさんからオファーが来て、「海苔でこういうのを作ってもらえませんか」と話が来ました。

――塩海苔にめんたいがまぶしてあるんですね。

東島さん:塩を振り掛けるのと同じことで、めんたいの粒々(つぶつぶ)になったものを振り掛けます。「そういうことに使えるめんたいはありますか?」と聞いたら、「ある」というので、商品化が出来ました。その後、めんたいやさんは一年ぐらいで辞められたのですが、めんたい塩のりはうちの売れ筋商品になっています。 それと、海苔を買う方は基本的には年配の方なんです。いまの若い人たちにはのりを贈答品にする習慣がないので......そこを何とかして若い人をターゲットにしようと思いました。

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――パッケージも若い感じですね。

東島さん:前はデザインも自前でやってましたが、一新して、デザイナーを入れました。初摘みの海苔ということで、「初」をモチーフに作ってもらって。このデザインは賞をとったそうです。 自前でやってたときのパッケージは、オーソドックスなふつうの海苔の袋でした。この新しいデザインの袋とよその商品との違いは、じつはアルミの袋なところなんです。透明な袋は中身が見えるのはいいんですが、空気を通すので具合が悪い。のりは湿気が一番の敵です。そこを考えると、アルミが一番いい。

――こちらののりの佃煮のラベルも、ローズピンクとかなり斬新です。

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東島さん:最初はサービスエリアと直売所で販売を始めましたが、のりって中身が黒いでしょう? 透明な袋を使っても全体に黒くなるので、のりコーナーに並んだときの差異化を図るのが大事なんです。前回もお話しましたように、私たち漁師にとっては、焼き海苔が王道です。でも、焼き海苔だけを並べてても売れませんから......沢山商品が並んでいる中では、「ああ、のりか」で通り過ぎられてしまう。

◎「コラーゲン」は女性に大人気

――なるほど。私は「有明の風」さんのラインナップを見たとき、最初にコラーゲンのりに目が行きました。コラーゲンは女性の若さを保つというので、人気ですね。これもご主人が開発されたんですか?

東島さん:塩、めんたい、コラーゲンまでは私が考えました。コラーゲンは女性向けです。コラーゲンが美容にいいことは説明する必要がありませんので、女性によく売れます(笑)。 味海苔の中では一番新しいわさびは、奥さんが考えました。「有明の風」を始めて最初の4、5年は私も一緒に「有明の風」をやってましたが、働いている人たちは女性ばかり。海の男は私を含めて、言動が荒いですからね(笑)。奥さんに任せたほうがうまくいくとわかって、ここ4、5年は息子の嫁さんも含めて、女性陣が「有明の風」を切り盛りしています。

――ご主人は四代目で、五代目は......?

東島さん:息子は佐賀市で女性ものの洋服のショップをしています。嫁も最初は息子と一緒にそっちをやってたんですが、将来的なリスクを考えたときに、「有明の風」のほうが脈があると思ったんでしょう。こちらで働いています。

――コラーゲンのりはどうやって作るんですか?

東島さん:パウダー状になっているコラーゲンを上から落とす。塩のりと一緒です。油を引きますから、それが接着剤になります。せっかく最高の初摘みの海苔を使っているんだからと、油も最高級の菜種油を使っています。 食品用の接着剤もあります。それを使えば、ゴマもくっつけられるんですが、そこは自然に徹して......コラーゲンには豚もありますが、のりは海のものでからね。魚のうろこのコラーゲンを使っています。

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◎ご飯に巻くだけ「おにぎり塩のり」

――ラインナップの中の「おにぎり塩のり」というのはどんなものですか?

東島さん:他のより小さいサイズで、二分の一カット。海苔のおにぎりを作るとき、ゴマや塩をつけますよね? それを初めから塩を付けておこうと。

――ああ、おにぎり塩のりを巻くと、自然とおにぎりができあがる。

東島さん:便利でしょ? 私たちも仲間と酒を飲んでるときやります。ご飯をおにぎり塩のりでくるっと巻いて、奥さんの手を煩わさないように

――良きだんなさまとしては(笑)。

東島さん:いまどきはそうでないとねえ(笑)。

◎最高級を使えば、営業トークは少なくてすむ!?

――加工品で一番ご苦労されたのはどんな点でしょうか。

東島さん:商品開発より、販売には苦労しましたね。ずっと生産者でやってきましたから、営業は素人でしょう? 商品についていろいろ説明するのがめんどくさいんですよ。最初の頃は、3軒行くともう疲れて、「海で仕事してるほうがいいなあ」と思いました(笑)。 デパートの展示会では、慣れないネクタイして商談室でバイヤーを前に説明しないといけない。そんなとき必ず言われましたよ、「おたくのはよそとどこが違うんですか?」って。「こだわっていいものを作っていますが......」、「「みなさん、そういうんですよっ!」って。 初摘みのりを使うのも、めんどくさいからなんです。初めから「これが一番美味しい海苔です」といえば、その先はあんまり営業トークは要らない。商売的には、安いものを使って高く売るほうが利益は出ますけれどね。

――おいしいものを食べさせれば、営業トークはしなくてすむとは名言ですね(笑)。

東島さん:そのうち、こうやって喋れるようになりましたけどね。高校時代の一つ下のヤツが不動産業だったんですが、うちの海苔に惚れ込んで営業を引き受けてくれました。成功報酬しか払えませんでしたが、彼は昔、(デパートの)岩田屋にいたので、広告代理店の人を連れてきて......最初は「広告代理店を連れてきて何する?」てなことでした。 面白いヤツでしたが、若くして亡くなりました。彼のおかげで、いろんな人と会いました。

――助けてくれる方あってのことですね。いまはこうした取材も多いんでしょうか?

東島さん:ええ。のりでこうした6次産業をやっているところは少ないですからね。取材も集中します。笑って、顔写真を撮影されるのにも慣れました(笑)。

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◎適正価格でおいしいものを

――お話からも順調なご様子が伝わってきます。

東島さん:これでも、いまはちょっとアップアップしています。自前の生産、加工、販売に加えて、委託加工といって、よその生産者さんたちが持ち込む海苔の加工も請け負っていますので。「有明の風」を始めたいまほど忙しくないときは、具合がよかったのですが、最近は忙しいときは販売と委託加工の仕事が重なるもので...... 昔はシーズン終わりの下級品を使って、塩のりなど加工品を作っていたのが、いまはほかの生産者さんたちもシーズン最初にとれる初摘みや、時期的に早いいい海苔を使って加工品を作られますし、こちらが立て込む時期をあらかじめ予測をつけるのが難しいです。

――それは加工品として売るために?

東島さん:いや、友人・知人に配るためです。それと、海苔の値段は幅はいま総じて狭まりまして、上がさがって下があがった状態です。それは需要と供給のバランスによるものです。 たとえば2016年の初めはスタートがダメでしたから、海苔の価格がびっくりするほど高くなりました。日本国内で生産が足りなければ、韓国や中国から調達してくるんですが、両国ともがあいにく不作で......問屋さんは大慌てで量の確保に走りますので、価格が高騰しました。

─ー収入が増えてよかったのでは?

東島さん:いや、収入が入ってくるのも良し悪しで、不作のときは、質がそう高くないものに分不相応な高値がつきます。消費者の方達はすぐにわかりますから、「これぐらいの質でこんなに高いのりなら、もう要らない」となるでしょう?あまりに高い利益を得るのも考えものなんですよ。

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◎世界に羽ばたく「佐賀のり」

――そういうお考えを伺うとほっとします。いまは全国から注文が来られるのですか?

東島さん:ホームページからの注文が一番多いです。あとは口コミ、「もらって食べたらおいしかったから」と買い求める方。「有明の風」を始めて3、4年は大体、「この方はあのお客さんのご紹介、お知り合いだろうな」と類推がつきましたが、その後、全国から注文が入るようになると、もうわかりません。

――最近は、ベトナムやタイでも佐賀のりは高級スーパーで人気の商品と聞きますが、佐賀のりの美味しさが広まるのは嬉しいことですね。

東島さん:国内では生活スタイルの変化......年配の方にとって海苔は身近なものであり、贈答用ですので、おいしかったら、人にあげるんですが、若い人はギフトの感覚自体が希薄です。年賀の挨拶もスマホで一斉に送るくらいですからね。 本当にいまは「個」の時代になってきました。昔は結婚も「家」と「家」の結びつきで、その中に海苔の贈答もありました。海苔は軽くて保存が利くので、贈答品のベスト3から落ちたことはなかったのですが、宅配便の発達により、自分で持ち運びする必要がなくなりましたし。

――加工品を手がけられてよかったなと思うのはどういうときですか?

東島さん:うちの海苔を食べて「感動した」といわれるときはやっぱりこちらも感動します。

――ご主人のお話をうかがって、海苔がとても身近なものに感じられました。これからもご家族、お体を大事になさって、食べて幸せな気分になるおいしいのりを沢山作ってください。

商品のお取り寄せができます。
「有明の風」ホームページ https://ariakenokaze.com/


2018/06/26
 

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